企業の福利厚生ってどうなっているの?(第1弾:法定福利=社会保険)

就活準備

企業選びの基準の一つとして、福利厚生の充実もじっくり検討して欲しい要素と言えます。
2回に渡って、採用・人事担当者から就活生に伝えておきたい福利厚生の見方を解説します。
就活生の参考になれば光栄です。

福利厚生は大きく法定福利法定外福利に分けられます。

今回は法定福利から見ていきます。

法定福利(社会保険)とは

法定福利は読んで字の如く、法律に準じて会社が従業員のために支出しなければいけない費用です。
具体的には、社会保険料や労働保険料のうち、企業が負担する部分のことです。

一般的には「社会保険」と呼ばれるものです。


法律上は、健康保険法、労働基準法、厚生年金保険法、介護保険法、労働者災害補償保険法、雇用保険法などで規定されています。

上記の法律の通りですが、下記の5つの項目が法定福利(社会保険)です。

健康保険

被保険者である従業員やその家族が(業務外で)病気・ケガをした際、医療費が給付される保険です。
保険料は労使折半で負担します。
料率は、所属する健康保険組合によって多少上下しますが、概ね標準報酬月額の10%です。

標準報酬月額は↓記事で詳しく解説していますが、4月〜6月の3ヶ月間に払われた基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として会社から現金又は現物で支給されるものの1か月分です。

仮に、東京都の協会けんぽ所属で標準報酬月額が24万円なら、健康保険料はおよそ23,616円で、半分(11,808円)が会社負担です。


健康保険制度については↓記事で解説しています。


厚生年金保険

従業員の老後の生活を支える目的で、老齢・障害・死亡に対して給付が行われる保険です。

保険料は労使折半で負担します。


料率は、標準報酬月額 × 18.3%(9.15%は本人負担、9.15%は会社負担)

標準報酬月額が24万円なら、21,960円が会社負担ということです。


厚生年金保険については↓記事で解説しています。

介護保険

40歳になってからは、介護が必要な高齢者の治療費や介護費を支援するための保険に加入します。
保険料は労使折半で負担します。


料率は、年々微増であり、2021年3月からは標準報酬月額の1.8%折半です。

標準報酬月額が24万円なら、会社負担は2,160円です。

若いうちは余り気にしなくて良いでしょう。

雇用保険

従業員が離職した場合に必要な給付を行う保険です。
料率は、所属する業種によって若干変わります(建設業や農林水産業は若干高め)が、多くの職業では賃金総額の0.9%のうち0.6%を会社が負担し、残りの0.3%が本人負担です。

雇用保険料の計算では、標準報酬月額ではなく、基本給、通勤手当、超過勤務手当(残業代)、家族手当、住宅手当などの賃金総額を用います。

毎月変わるのです。

イメージするための例では、賃金総額を、これまで挙げた標準報酬月額と同じ24万円として計算すると、会社負担は1,440円です。

失業時のセーフティーネットである雇用保険については↓記事で解説しています。

労災保険

従業員が業務上や通勤中に負傷(労働災害した場合に支給される保険です。

保険料は会社が全額を負担します。

なので通常、給料明細には記載されません

労災保険料の計算も、雇用保険料と同様、標準報酬月額ではなく、賃金総額を用います。

労災保険料の料率は、業種によって異なり、金属鉱業・非金属鉱業の8.8%から計量器・光学機械・時計等製造業、通信業・放送業、新聞・出版業、金融業・保険業、不動産業の0.25%までかなり差があります。

計算例としては、小売業の料率0.3%として、賃金総額24万円なら、720円の会社負担です。

労災保険料率の高さは、その業種で実際にどれだけ労災が起こっているかが影響していますので、自分の業種の料率を知っておくのも大切だと思います。

下のURL掲載の表が、現行の料率表です。(厚労省資料)

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/rousaihokenritu_h30.pdf

法定福利(社会保険)の総額

福利厚生費のうち会社が従業員(正規雇用を想定)を雇う上で必ず払わなければならない法定福利費(社会保険料)を計算します。

ここでは、東京都の協会けんぽに所属する小売業で、22歳の新入社員として、さらに計算を簡略化するため、標準報酬月額と賃金総額を24万円と仮定すると、健康保険料11,808 円、厚生年金保険料 21,960円、雇用保険料1,440、労災保険料720円で合計35,928円です。

つまり、標準報酬月額と賃金総額24万円の人を雇うなら、275,928円は確実に払わなければならないということです。

イメージしやすく言えば、企業は給料に上乗せして、約15%は法定福利費を払わなければならないのです。

ブラック企業の求人

求人広告で、福利厚生の項目に、「社会保険完備」だけが踊っているのは、逆に言うと「法定福利(社会保険)は法律に準じて払いますが、それ以外は当然払いません」という宣言と同意なので、ブラック企業の確率がぐっと上がります。

「社会保険完備」という文言はそういう意味では要注意です。






以上、企業の福利厚生のうち、法定福利(社会保険)について見てきました。

就活生の参考になれば光栄です。

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略歴は、
地元駅弁→大手企業人事担当者→バックパッカー→海外転職(人事マネージャー)→コロナで地元に帰って中小企業の人事担当者
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