どうして転勤ってあるの?

人事関連情報

正社員で入社すると、会社によっては転勤があります。
今回は、もはや前近代的ともいえる転勤について、従業員と会社双方の価値を人事担当者の視点から解説します。

転勤のある正社員の方の参考になれば光栄です。



従業員にとってのメリット・デメリット

まずは転勤が、ひょっとしたら人生の一大転機になるかもしれない従業員側メリットデメリットを見ていきます。


従業員側のメリット

転勤は従業員にとってもそれなりにメリットがあります

代表的なものを2つ見ていきます。

環境が(強制的に)変わる

転勤によって多くの環境がガラッと変わります。
住む場所、職場、友人、その他の人間関係などが強制的に変わります。


個人的には、少数の土地しか知らないよりも、たくさんの土地見て回れるのは良いことと思います。

田舎人事は、これまでに短いものも含めて日本国内で5都県で働いて生活しましたが、それぞれ素晴らしい経験だったと考えています


国内の転勤であっても、地域によって人の気質、方言、食、観光など全然違います


旅行で行くのと、実際に住むのとでも全く意味合いが異なります。
転勤によって、比較的低リスクで様々な土地に住めるというのは大きなメリットと言えます。


嫌な上司・同僚と縁遠くなる

職場の人間関係が優れない場合は、転勤は大きなチャンスす。


特に、合わない上司や同僚がいると、最悪退職せざるを得ない訳ですが、そのような最悪な人間関係も転勤でリセットされます。

退職の一番多い原因人間関係ですから。


自分にも原因があるとするなら、その反省次の職場で活かすことも出来ます。

冴えない業務成績だった従業員が、転勤して相性の良い上司と出会い、そこからみるみる出世して行ったという話も人事の仕事をしている中ではしばしば耳にします。


従業員にとってのデメリット

家族に悪影響

転勤の最大のデメリットと言えるのが、家族に多大な影響を及ぼすところです。

配偶者(夫や妻)が働いているなら、現職を辞めてもらうか、別居(単身赴任)するかの二択です。
稀に、配偶者の転勤に合わせて転勤させてくれる会社もありますが、基本的には難しい話でしょう。

子ども保育園に通っているなら、転園はかなり難しく、転勤先で待機児童となってしまう可能性もあります。

小中学生なら、転校という残念な経験をさせてしまいます。(学校内の環境にもよりますが)

単身赴任(出稼ぎ除く)は日本だけの文化

日本では転勤の辞令を受け、単身赴任することがあります。
家族の生活を変えずに辞令に従うにはそうせざるを得ません。

これは開発途上国など出稼ぎを除くと、ほとんどの国には無い話です。
多くの国では、仕事よりも家族との生活を優先するのが一般的だからです。


何の為に働くのか?」という命題に対する答えが「家族との生活のために働く」というのが世界標準でしょう。

単身赴任という働き方は「仕事のために働く」という日本固有の考え方とも言えます。


スキルが広く浅くなる(ゼネラリスト化)

転勤によって、それまで身につけたスキルの一部または全部が使えなくなります。
特定業務のスペシャリストではなく、何でも広く浅くゼネラリスト化するという訳です。


古き良き日本企業で、年金満額受給年齢まで確実に雇用し、定期昇給も賞与も退職金も十分であるなら、ゼネラリストも良いかもしれません。
しかし、昨今はそんな会社はどんどん減っており、先日の記事でもNTTドコモの大幅な賃金カットについて触れました。

ジョブ型雇用が広がる現代では、ゼネラリストは、転職市場での価値を下げてしまうのです。


持ち家がある場合に機会損失

持ち家に住めなくなるのも大きなデメリットと言えます。
特に地方では持ち家率が高いのですが、仮に住宅ローンで住宅を購入した場合、借金してまで購入した自宅に住めない期間が転勤によって出来るということです。

そして、転勤前提の総合職では、結婚して家族が増え、住宅を購入した頃にちょうど転勤の辞令が出るというのはありがちです。

住宅ローンを組むと退職のリスクが下がるので、異動させやすいという企業側の魂胆も見え隠れします。



会社側のメリットとデメリット

今度は会社にとっての転勤のメリットとデメリットを見ていきます。

会社の転勤目的・メリット

まずは会社にとっての転勤の目的メリットから。

人事の流動性

人材が特定のポジション長期間滞留すると、業務は一見スムーズに流れていきます。


しかしながら、仮にある人が同じ部署で10年間同じ担当をしており、突然病気等で退職しなければならないことになった場合、後任を配置することが非常に困難です。
その退職者が、完璧なマニュアルを作成済で、どんなに能力の低い人でもマニュアルを見ながらなら何ら問題なく業務が出来るのなら構わないのですが、そんなケースは稀です。


異動・配置転換の最大の目的は、他の誰にも開けられないブラックボックスを作らせないことにあります。


ゼネラリスト教育

古き良き日本企業では、選抜の末、従業員の中から何人かの幹部(社長や役員)が育つことを期待しています。

そんな中では、一つの場所で同じ仕事をしていた従業員では、広い視野を持った中での決断を任せることは難しいのです。

なので、最終的にマネジメント層に入る人社内の様々な業務を経験したゼネラリストに育てようとするのです。


会社側のデメリット

従業員の退職

転勤を指示された従業員が辞めてしまうことがあるのが、企業にとって最大のデメリットでしょう。

この辺は↓の項で解説します。

転勤は断ってもいいの?

転勤は断れるんですか?

こんな疑問を持つかもしれません。

田舎人事
田舎人事

これはかなりグレーな話であり、会社によって対応が異なります。

基本的には、異動の辞令を従業員は断れません

状況によっては、懲戒解雇にもなり得ります。

懲戒解雇については↓記事で解説しました。

もちろん、懲戒解雇は会社から従業員に対する極刑であり、会社にとっても非常に煩雑な手順が必要であり、懲戒解雇された従業員にも企業にも大きな損害となり得るため、通常は退職勧奨して、自ら退職願を書かせることになるでしょう。

解雇権の根拠

何故会社が、転勤を断った従業員を解雇できるのかというと、転勤辞令が出るのは基本的には総合職正社員だけであり、就業規則や労働条件(通知書)にも転勤の有無が明記されています。

また、同一労働同一賃金の観点からも、総合職正社員が、地域限定正社員や非正規従業員に比べて待遇が優遇されている根拠の一つが転勤の有無だからです。

転勤しないなら、最初からその待遇では雇わないということです。

例外

基本的には解雇相当とされるのが転勤拒否の通例ですが、例外もあります。

自分だけしか介護できない家族がいたり、子どもの教育上やむを得ない場合などは転勤を拒否できるケースもあります

この辺りは、辞令が出る前に事前に上司や人事担当者に伝えておくべき内容でもあります。

会社と揉める前に、情報提供はしておいた方が無難でしょう。





以上、企業の中での転勤について人事担当者の視点で解説しました。

転勤の可能性が出てきた方の参考になれば光栄です。

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「田舎人事」です。
略歴は、
地元駅弁→大手企業人事担当者→バックパッカー→海外転職(人事マネージャー)→コロナで地元に帰って中小企業の人事担当者
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